2012年4月9日月曜日

パリ~ルーベ


ボーネンかっこよすぎでしたね!しびれましたよー。年明けから調子の良かったボーネンをみて、パリ~ルーベまでコンディション保てないんじゃね?と心配してたくらいだったのですが、北のクラシック最終戦で一番強いレースをしてくれました。

私がJスポーツの実況に合流したのは、アランベール突入直前のあたり。去年はそこからクイックステップの受難が始まったわけだけど、今年は好調のチーム状態をそのまま難所でも活かせましたね。シャヴァネルが先導してペースアップ、アランベールでいきなり集団が破壊されて、一気にレースはサバイバルの様相に。その後、バッランやフレチャがメイン集団から先行するというちょっと危うい状態になりそうになったけど、ステーグマンスの鬼引きで引き戻し、またもやシャヴァネルが逃げに出てレースを動かすという、チームとしてはやりたい事がそのままできる最高の状態。その調子の良さそうだったシャヴァネルは、パンクによる車輪交換に手間取ってしまって優勝争いからは脱落しちゃって残念だったけど…。

そして、レースの分かれ道になったボーネンとテルプストラによる逃げ作戦。もうね、びっくりしました。そして、その瞬間大丈夫なのかよ!とも思いました。だって、カンチェラーラの戦線離脱によって、今回誰がどう見ても最大の優勝候補だったボーネンが、残り50キロ以上残して逃げに乗ったわけですよ?しかも、一緒に連れてきたテルプストラは、数キロで追走集団にもどって、ボーネンの独走状態になってしまったわけで、いくら調子が良いとはいえ観てるこっちとしては無謀に見えちゃうじゃないですか。これで負けたらどれだけベルギー人から叩かれるんだよ!とかw

ところが今年のボーネンは本当に強かった。五つ星のパヴェ区間を巧みに走り抜け、追走集団との差をじりじりと離していく。追走集団は、メンバーを4人も残していたスカイが、フレチャを筆頭に必死で追っているように見えたけど、前を行くボーネンとの差は開くばかり…。結局差を詰めることなく、そのままボーネンが50キロあまりを独走したまま優勝と相成りました。

レース実況中、ツイッターで「ボーネンはカンチェラーラの亡霊とたたかっている」というツイートをみたけど、まさにそんなレースでしたね。2年前のこのレースで、勝負どころのパヴェ区間で、カンチェラーラに独走を許し、そのまま影を踏むことが出来ず完敗したボーネンだったわけですが、今回のレースでは俺もそういう圧倒的な勝ち方ができる!という自信とプライドがあったんでしょう。先週のロンド・ファン・フラーンデレンでは守りに徹して勝利した印象だったけど、パリ~ルーベでひたすら攻めての勝利、自分の脚質や調子を冷静に見極めながら、終わってみれば北のクラシックで圧倒的なリザルトを残しました。

本来、カンチェラーラがやりそうな勝ち方をしたボーネンの姿をみて、今回のレースでカンチェラーラも走ってたらどんなレースになっていたんだろう…とは思わずにはいられない。まったく別のレース展開になったのかもしれないし、マッチレースになったのかもしれないし、興味は尽きないわけですが、残念ながら今年はカンチェラーラに不運がつきまとってその楽しみはお預けになってしまいました。来年こそは、ロンドとルーベで、この二人のガチンコ対決をみてみたいもんですね。

はー、今年も北のクラシックは楽しかったなー。贔屓のチームが順調すぎると面白さが違いますねw

他を寄せ付けない独走勝利 トム・ボーネンが歴史にその名を刻む
トム・ボーネン勝利記者会見 「4勝目のルーベは特別な走りで勝ちたかった」
Paris-Roubaix (2012) Photos
Triomftocht Tom Boonen na hectische helletocht

2012年4月2日月曜日

ロンド・ファン・フラーンデレン


レース直前まで、あまりにもオメガファルマQSTのチーム状態が良くて、好事魔多しというし、本番では何かやらかしちゃうんじゃ…と勝手に心配してたんですが、終わってみればボーネン&チームが実力通りの結果を出しましたね!ボーネンはこれでロンド3勝目、ここ数年の鬱憤を晴らすようなビッグタイトル獲得おめでとうございました。

印象的だったのは、レース実況中に栗村さんが何度か言ってた「ボーネンらしくない」レースっぷりで、良くも悪くもこの「ボーネンらしくない」走りが今回のレース結果になったんじゃないだろうか?と思ってる。ここでいうボーネンらしさというのは、攻めに攻めまくるスタイルのことだと思うんだけど、ここでアタックしちゃうの?的なサプライズが最後までなく、そしてスプリントで勝負を決めるという、言い方は悪いけどちょっとおもしろみにかける勝ち方ではあったかも。E3プライスの時なんかは、石畳の登りで脚を計るようなアタックを見せていたみたいだから、今回も攻めのレースを見せるんじゃないかと期待してた分、そう思っちゃったのかもしれない。

で、自分なりになぜボーネンがおとなしいレースをしたのか考えてみた。

・単に脚がなかった説。レース後ボーネンのインタビューで、「今日はそんなに調子がよくなかったんだよ」発言もあるようだし、自分の調子を冷静にみての判断だったのかもしれない。

・チームのレース運びが盤石で、自分から動く必要がなかった説。シャヴァネルはマークが厳しくて逃げに乗れなかったけど、2回目のクワレモントで集団を破壊したアタックは強烈でしたね。途中ことごとくアタックをつぶしてたスティーグマンスとか、最後まで先頭集団に残っていたテルプストラとか。ラストにポッツァートとバッラン3人の逃げが決まったのも、テルプストラとシャヴァネルのアシストが大きかったに違いない。

・レース中3回通るクワレモント~パテルベルグを無事こなすために力を温存していた説。まぁ、普通に考えるとこれだよね。三度目のパテルベルグ、もうちょっと距離が長かったら、下手するとポッツァートとバッランに置いていかれたかも…な走りっぷりだったし、ボーネンも今回のコースレイアウトに対して攻めの走りより守りの走りのほうが重要だと判断したのかも。

・周りからのマークが厳しくて動くに動けなかった説。ボーネン自身E3とヘントを連勝中だっただけでなく、シャヴァネルやテルプストラも絶好調とあって、明らかに他のチームはQSTをみる形でレースしてましたね。だからこそ、2回目のクワレモント辺りまでレースがおとなしかったのかもしれないけど。

・去年のロンドでやったアタックに非難が集中してトラウマになった説。いや、非難が集まったのかどうかは知らないけど、結果としてカンチェラーラに火をつけただけだった例のアタック、俺未だに意味がわからないもん。さすがに懲りたんじゃないのかなぁ…とか思ったり。

・ポッツァートに逆ストーカーをやってみたかった説。ボーネンもずっとローテーションに入ってたからそんなわけはないんだけど、ネタ的に…w

・最大のライバル、カンチェラーラがリタイアして張り合いが無くなった説。これはこじつけだなw しかし、レディオシャックも最後までアシストが3人前に残ってたようだし、カンチェラーラが落車してなかったらどんなレースになってたんだろうなぁ…と思わずにはいられない。

ロンド・ファン・フラーンデレンとパリ~ルーベは、数あるワンデーレースの中でもサバイバル度が格別に高い印象があるので、今年みたく比較的大きな集団のまま終盤を迎えるというのはどうなんだろうなぁ…と少しばかり思いました。新コース設定でレースがどう動くか、誰もが読めなかったから余計に慎重なレース展開になったのかもしれないな。来年も今年の同じコースなのかはわからないけど、一観客として無責任な意見を言うならば、やっぱり残り100キロ地点くらいからチーム感の思惑がぶつかり合うようなレースがみたいっす。

レース結果
落車続発のフランドル決戦 王者ボーネンが史上5人目となる3度目の優勝