2011年4月11日月曜日

パリ~ルーベ

中盤の勝負どころで、ボーネンにメカトラが発生した時点で、今年のパリ~ルーベへの興味が一気に低下しちゃいましたが、それでも終盤の心理戦や勝者ファンスーメレンのアタックはサイクルロードレースのおもしろさが凝縮されていたし、クイックステップの受難を除けば、非常に見応えのある面白いレースだった。

今レースも、最大の見所はカンチェラーラVSその他の優勝候補。特にボーネン&シャヴァネル擁するクイックステップ勢と思っていたんだけども、アランベールで発生したボーネンのメカトラ以降、呪われているとしか思えない不運の連続で、結局ボーネンは途中リタイヤ。シャヴァネルも、すわリタイヤか?と思ってしまった大きな落車の後、一時はメイン集団に戻るファイトをみせたけど、結果としては優勝争いには絡めずに終了。

そんな中、対カンチェラーラとしてうまくチームが機能したのがガーミン・サーヴェロ。比較的大きな逃げグループにメンバー数人を送り込みつつ、メイン集団では優勝候補の1人だったフースホフトがカンチェラーラを徹底マーク。RVVでクイックステップがカンチェラーラに対して行ったような戦いが見事にはまり、終盤のカンチェラーラのアタックにも付き位置でついて行ったフースホフト。しびれを切らして前を牽くのをやめるカンチェラーラ。そして膠着状態からの心理戦。逃げ集団も追走集団も膠着状態のまま、最後の5つ星パヴェ区間でアタックを決めた、フースホフトのアシストファンスーメレンがそのまま逃げ切り勝利!お見事でした。

カンチェラーラは、ミラノ~サンレモ2着、RVV3着、そしてパリ~ルーベで2着と、常に最前線で戦い続けたけど、圧倒的な優勝候補としてのきついマークと、石畳レースとしては劣ってしまうチーム力の差がじわりと効いて、大きなところでは勝ちを決めることができず。今回のレースでも、前の逃げ集団にチームメイトの1人でも残っていれば、追走中にローテーションを回すこともできたろうけど、1人で追うしかないという現実は、あれほど圧倒的な独走力をもってしても、勝つのには厳しかったですね。それでもラスト3キロで決めたアタックで、まさかファンスーメレンまで追いついてしまうのでは…というハラハラを演じる辺りが、宇宙人説が流れてしまう所以なんでしょうw

そして、2週連続で、苦労人っぽい印象のあるベルギー人が勝利するところに、ロードレースのおもしろさや美しさがある。RVVでのナイエンスの走りも、いろんな条件がぴたりとはまった感があったけど、今回のファンスーメレンも、最高のタイミングで、自身が得意とするパヴェ区間でアタックを決め、おそらく今後も含めた自身のキャリアで、これ以上ない勝利となりましたね。後で耳にした話だと、勝利後7年間付き合っていた恋人にプロポーズまで決めてしまったとのこと。こんなシチュエーションでプロポーズされて断ることができる人なんていないよね。はてなBでそのエピソードを読んだ某ブックマカーが「リア充爆発しろ」ってコメント残してたけど、その気持ち、俺もわかるよ…w

あとは、なんと言っても別府選手完走おめでとう!ですね。日本人初のパリ~ルーベ完走となりました。去年もヴェロドームまではたどり着いたけども、惜しくもタイムオーバーで記録に残らずだったことを考えると、この1年間でそれだけの実力をつけてきたって証ですよね。来年はさらなる上位を目指して頑張って欲しいですね!

その他、パリ~ルーベらしい、アクシデントの数々がいろいろ伝わってきたけども、その中で思わず笑ってしまったのが、アルヴェセン。なんとサドルが外れた状態で20キロ走り続けたらしい。その状況をとらえたカメラがこの動画。記録上はDNFだったみたいだけど、パヴェ区間がまだまだ残ってる状況で走り続けたっていうのだから、本当に凄いと思った。でも笑っちゃう…w

2011年4月5日火曜日

俳優に似たロードレーサー

サイクルロードレースを観てると、選手の顔が映画俳優に似てるなぁ…と思うことがちらほら。クイックステップのシャヴァネルをみてヒュー・グラントに似てる!って思ったのが最初なんですが、その他この辺はどうだろう。

・フィリップ・ジルベール→ケヴィン・ベーコン
・マシュー・ゴス→ブルース・ウィリス(これはTwitterで他の人がツイートしてるのをみてなるほど!と思った)
・マーク・カヴェンディッシュ→レニー・ゼルウィガー

え、全然似てないって?

2011年4月4日月曜日

ロンド・ファン・フラーンデレン

たぶん、カンチェラーラがカペルミュールで捕まってなかったら、大して記憶に残らないレースになった気がするけど、あそこで後続が追いついたことで、一転最高にスリリングなレースになった。今思い返すと、去年のロード世界選手権みたいなレースになりましたね。

Jスポの解説陣が、レースを振り返る中で「結果として、アタックをした人間がみんなつぶれた」レースと述べていて、まさにそんな結果だったわけだけど、だからといって美味しいところを持って行ったナイエンスがずるいわけじゃなくて、あの展開で最後まで先頭に残れたって時点でやっぱりクラシックレーサーとして強い選手なわけです。なんといっても、ゴール近くで前に残っていた面々は現役最上級のワンデーレーサーにしぼられていたわけだしね。個人的にはちょっとだけ拍子抜けしたのも事実だけどもw

自分なりにレースを振り返ってみる。

まずは、なんといってもカンチェラーラ。ボーネンがちょっと理解しがたいタイミングでアタックをかけ、それにぴったり反応した後まもなく、ボーネンも置いてけぼりにして独走開始。前を行くシャヴァネルに追いついたところで、今年もカンチェラーラかと思っちゃいましたけどね。カペルミュールで後続に追いつかれた後、このまま終了とならずに、最後の最後まで優勝争いの最前線に残ったのはさすがだった。自身のスプリント力の弱さとチーム力が弱点としてちょっと露呈した感もあるけど、来週のパリ~ルーベの最有力候補であることには違いなく。今回のレースでは、この人も人間なんだな、とちょっと安心できたことが最大の収穫かもねw

きわめて惜しかったのは2位だったシャヴァネル。クイックステップ得意の、勝負所突入前の逃げ作戦から、カンチェラーラに追いつかれたあともぴったりマーク、最後の最後まで一番目立ってた気がする。当然、後ろに優勝候補のボーネンがいるからこそ、カンチェラーラの付き位置を維持し続けられたわけで、その分カンチェラーラに対するアドバンテージもあったわけだけど、それでもカンチェラーラが途中で仕掛けるようならついて行くことが出来なくなるに違いないと思っていた私を許して下さい。最後のスプリントも、進路次第では…という感もあるので、キャリア最大の勝利を逃したのはもったいなかったかも…。昨夜パリ~ルーベのスタートリストを確認したら、ちょっと前までメンバーに入ってなかったのにいつの間にか名前があったので、クイックステップはパリ~ルーベでも同じ作戦で挑むことになるんでしょう。今日のパフォーマンスをみると、他のチームの有力どころも作戦に悩みそうな気がする。

次はボーネン。ボーネンファンとしては、期待半分不安半分な感じでの応援。シャヴァネルが逃げに乗ってからは、チームプレイに徹してたように見えたし、カンチェラーラ徹底マークのまま終盤に突入かな?と思いきや、先に仕掛けて、そしてカンチェラーラに置いてかれるという、面目丸つぶれなレースっぷり。でも、カンチェラーラに離されたのは、坂の途中でボームとボアッソンが壁になったタイミングにも見えたから、あれを攻めるのは酷かもしれないのだが…。そもそもにして、シャヴァネルが好調そうなところでカンチェラーラに火をつけたアタックがいまいち理解できなかった。

とは言え…。ここで一つの妄想をしてみる。例えばボーネンがあそこでカンチェラーラにちぎられなかったら。おそらくそのままシャヴァネルと2人が合流してたでしょう。すると、ボーネンとシャヴァネルの性格からすると、カンチェラーラ1人だけに先頭を牽かせるような展開にはならないから、カンチェラーラとしてはカペルミュールに入るまでに少し息を入れることができたかもしれない。すると、カペルミュールで去年の再現になっていた可能性だってある。逆に、クイックステップ2人相手にするのは厳しいという判断で、早々に追走集団に戻って、また息を入れたかもしれない。どっちにしても、ゴール前までにカンチェラーラはもうすこし脚をためることが出来た可能性もあるんだよな。

結果として、クイックステップは勝利こそ逃したけども、シャヴァネルはカンチェラーラに先着できたわけで、カンチェラーラが勝利を逃したのも、最後の最後で追い込んできたボーネンのスプリントをみて、タイミングとして早駆けになってしまったことに原因があるとも言えるので、チームとしてみると一矢を報いる結果にはなった。まぁ、ボーネンは同国のファンから厳しい批判も受けそうだけども、実はあのタイミングでボーネンが動いてなかったらこういう結果にはならなかったとも思うし。すべてはたられば論だけどさ。

とにかく、カペルミュールを前後してからのジェットコースター的な展開は、実に中毒性の高い、そして非常に興奮するものになった。2週前のミラノ~サンレモが終わった時に、ここまで面白いレースはなかなかみれないよなー…なんて思ったんだけど、こんな早くに同様の興奮が味わえてシアワセっす。

今度は1週後のパリ~ルーベ。こちらも面白くなると嬉しい。つーか、雨降らないかなw